「もしもの100」をつくりました。
もしもの100とは、防災にまつわる100のトピックをシンプルにまとめた一覧です。防災の「教科書」というよりは、子どもの頃に親しんだ「図鑑」に近いものになっています。リーフレットになったり、ポスターになったりと形は様々。備えておきたい備蓄品から、地震が起きた「後」に取るべき行動や心がけまで、多様な防災トピックが並んでいます。
( ↑もしもの100 一覧 )
なかには、普段当たり前のように使っている日用品が実は防災グッズとしても活躍する、という新鮮な発見があるものも。全部をきちんと覚える必要は全くありません。「へえ」となる情報を1つ知っておくだけで、災害時にとれる行動や回避できるリスクの幅は広がってくると思うのです。この記事では、もしもの100の中からいくつか防災トピックをご紹介していきます。
水や電気のない生活、避難所での生活など、もしもの時には想像を超えた不便な生活が待っています。そんな時に役立つものを2つご紹介。
ラップ No.16
傷口に巻いたり、腹巻きとして体を温めるのに使ったり。食器の上に敷けば、洗い物を増やさず食事ができるので、水道が止まった時にも活躍する優れものなのです。
トランプ No.30
なんでトランプ?と思うかもしれません。みんなでできる娯楽がひとつあるだけで、食べ物も水も電気もない避難生活が少しやわらぐのです。
他にも、できる限り「多様な防災」について考えるきっかけになることを目指しました。「もしも」は「みんな」に関係あることだから、まだまだ防災で議論され尽くされていない「女性のもしも」「ペットのもしも」「シニアのもしも」「障がい者のもしも」といった視点も含んでいます。
生理用ナプキン No.58
避難所では当たり前のことが当たり前にできないものです。生理用ナプキンも十分に支給されるとは限りません。持ち出し用袋に備えておくと安心です。
常備薬 No.64
必要な薬は多く準備しておきましょう。特に高齢者の方は、薬がないととても不安です。お薬手帳を持っておくだけでも処方してもらえるので安心です。
ヘルプバンダナ No.67
目や耳が不自由なことを伝えるためのバンダナです。もしもの時は誰しも余裕がないため、障がい者の方のSOSが見逃されてしまうかもしれません。今後、ヘルプバンダナがもっと当たり前になることを願います。
ペット用の靴 No.73
もしもの時、ペットも被災します。むき出しの肉球でガラス片が散乱する地面を歩くのは危険ですから、ペット用の靴もあると安心です。
正直なところ、もっともっと他にも考えるべき「多様なもしも」があるはずです。誰も取り残さない防災があるはずです。もしもプロジェクトでは、今回のもしもの100を土台に、いろんな人を巻き込んで議論を深め、今の防災・減災を拡張していけたらと思います。
ここまで「防災グッズ」の紹介でしたが、もしもの100には災害後の「行動」や「心がけ」も含まれています。そこから2つご紹介。
「危険は上から降ってくる」 No.78
建物は丈夫そうに見えても、そこにくっついているタイルやガラスが降ってくるかもしれません。地震が起きた時は「頭上」に注意を払うクセをつけておくと安心です。
「群衆なだれに気をつけて」 No.85
特に都会では、混乱した人が密集してぎゅうぎゅうに押し潰しあう「群衆なだれ」という二次災害の危険があります。特に、もしもプロジェクトの舞台である渋谷は「谷」になっていて、谷底の駅に人が集まりやすい構造です。駅周辺で「群衆なだれ」に巻き込まれないためにも、もしもの時は「人混み」は避けましょう。
最後に
必ずしも、今回のもしもの100が絶対に正しいというわけではありません。状況によって災害時の対応は変わってきます。(だから、防災は難しいのだなと実感しました...)そして、100という数字にも実はそんなに大きな意味はありません。本当はこれが200でも300でも1000でも、必要な情報はたくさんあった方がいいのでしょう。この「もしもの100」をベースに防災・減災の常識をアップデートしていくことに挑戦できたらと考えています。
もしもプロジェクト
実行委員 松木 啓(DE)
参考文献